交通事故で骨に異常が発生した場合の注意点
1 骨折の有無と慰謝料
交通事故で骨折した場合には、通常はレントゲンやMRIなどの画像を撮影してきちんと診断をすることになります。
しかし、治療方針に大きな違いがない場合には、骨折がはっきり画像に写らないままで医師の経験をもとに判断して治療を続けることがあります。
医師は、身体に負担をかけないように必要最小限の検査をすることも多いですので、後から損害賠償の観点でみると被害者に不利益が発生してしまう場合もあります。
医師は、治療に必要な範囲でしか検査をしませんが、損害賠償の観点からすると、骨折と確定できるかどうかで慰謝料が変わってくるため、事故直後にきちんと画像で分かるようにして確定診断をしてもらう必要があります。
被害者に骨折の疑いがあっても画像の裏付けがない場合には、他覚所見がないむちうちや打撲と同じように扱われてしまい、痛みの治療やリハビリをした際の慰謝料の金額が大きく違ってくる可能性があるのです。
2 骨挫傷の診断
レントゲンをとってもはっきりした骨折がない場合でも、痛みがなかなか治まらないような場合には、骨の内部の組織が損傷して、骨挫傷が発生している場合があります。
骨挫傷は、外傷などにより骨の内部の出血や、炎症、微細骨折などが生じたものです。
骨挫傷は、レントゲンやCTでは捉えがたいため、MRIで骨の内部の状況を確認する積要があります。
痛みが長引くような場合には、整形外科で医師に相談して、MRIで骨挫傷がないか確認してもらうこともあります。
MRI画像上、痛みの原因となる骨挫傷が見つかれば、他覚所見として、MRI画像が痛みを裏付ける証拠となることもあります。
きちんとした裏付けの有無で、ケガをした場合の慰謝料の金額が変わってきますので、ある程度早期にMRI画像を撮るかどうかは重要です。
3 脊柱の圧迫骨折
交通事故で脊柱が圧迫骨折になった場合には、画像で圧迫骨折が確認できれば後遺障害が認定される可能性があります。
脊柱の圧迫骨折の場合には、その変形した状態によって、後遺障害等級が大きく変わってきます。
カルテや画像等で変形の状況を見て等級の判断をしないといけませんので、脊柱の圧迫骨折があった場合には、必ず弁護士にご相談ください。
4 交通事故の際には早めに弁護士にご相談ください
このように、医師の治療の必要という視点と、弁護士の損害賠償に関する視点は異なっています。
医師には治療の専門家として治療を任せることができますが、後の損害賠償については関与しないため、損害賠償の際に不利益とならないような準備をしてくれるわけではありません。
交通事故にあった際には、治療とともに損害賠償への準備ができるように、早めに弁護士に相談しておいてください。
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