「実刑・執行猶予・罰金・前科等」に関するお役立ち情報
略式請求になる基準とその流れ
1 略式請求になる基準
略式請求は、検察官が、簡易裁判所に対し、正式な裁判によらないで、被疑者に一定額の罰金刑などを科す裁判をするよう申し立てる手続です。
略式請求は、
- ① 100万円以下の罰金刑を科すことができる事件であること
- ② 略式請求することについて被疑者に異議がないこと
を要件として、検察官の判断によりなされるものです。
ですので、殺人や強盗など、罰金刑を科すことができない犯罪、つまり法定刑に罰金刑がない犯罪について、略式請求をすることはできません。
また、被疑者が犯行を否認するなどして事実を争っている場合、被疑者には、正式な裁判によらず略式請求することに異議があることが通常ですので、やはり略式請求することはできません。
そして、被疑者は、略式請求がなされ、裁判所から略式命令を受けた後であっても、正式な裁判を受けたいと考えれば、略式命令を受けて14日以内であれば、略式請求をした裁判所に対し、正式な裁判を受けることを求めることができます。
2 略式請求の手続の流れ
被疑者は、検察官から略式請求について説明を受けます。
この時、被疑者は、検察官から、略式命令を受けた後でも正式な裁判を求めることができること等の説明も受けます。
その上で、被疑者に略式請求することに異議がなければ、検察官は略式請求をすることになります。
その時、被疑者は、検察官から、検察官が用意した、略式請求することに異議がないことが書かれた書類に署名押印することを求められることが通常です。
被疑者は、略式請求に異議がなければ、その書類に署名押印します。
3 略式請求がなされた後の手続の流れ
裁判所は略式請求を受けた後、事件の記録を検討した上、被告人に対し略式命令を出します。
この時、裁判所は、被告人に対する裁判を開きませんし、被告人に対し質問をすることもありません。
略式命令が出された時点で、被告人が勾留されていれば、身柄の拘束が解かれます。
その後、被告人は、略式命令によって決められた額の罰金を、検察庁の所定の窓口に納める手続をすることになります。
もし、検察庁から催促があっても被告人が罰金を納めずにいれば、最後には被告人は労役場に留置されることになります。
被告人が労役場に留置される期間は、略式命令によって例えば5000円を1日に換算するなどと決められています。