「逮捕・勾留」に関するお役立ち情報
起訴前の勾留を回避するための手続き
1 起訴前の身柄拘束の手続
被疑者は、初めに逮捕されて身柄を拘束されます。
その後、被疑者が引き続き身柄を拘束される場合、72時間以内に勾留請求されます。
それを受けて勾留の決定がなされると、被疑者は決められた留置施設で勾留されます。
勾留の期間は10日間であり、決定でさらに10日間延長されます。
2 勾留を回避するための手続
勾留を回避するためには、
- ① 被疑者の逮捕を防止するように警察に働きかける
- ② 被疑者の勾留請求をせず、釈放するように検察官に働きかける
- ③ 被疑者の勾留請求を却下するように裁判官に働きかける
ことが考えられます。
このような働きかけは、被疑者に代わって弁護人が行うのが通常です。
弁護人は警察や検察官、裁判官に働きかける際、被疑者には逮捕や勾留の理由がないことを主張することになります。
ここでいう逮捕や勾留の理由は、
- ① 被疑者が証拠を隠滅する危険性があること
- ② 被疑者が逃亡する危険性があること
であり、弁護人はそのような危険性がないことを主張することになります。
弁護人は、被疑者が証拠を隠滅する危険性がないことについて、警察が防犯カメラ映像やスマートフォン等の客観的な証拠を収集済みであることのほか、被疑者が被害者や目撃者などの事件関係者と接触しないことを約束していることなどを主張します。
また、弁護士は、被疑者が逃亡する危険性がないことについて、被疑者が警察や検察官、裁判官から呼び出しを受ければ必ず出てくることを約束していることや、被疑者の家族や知人らが被疑者を監督することを約束していることのほか、被疑者が定職についていて生活が安定しており、逃亡するような事情がないことなどを主張します。
3 勾留から解放されるための手続
それでも勾留の決定がなされて被疑者が勾留することになったとしても、被疑者が勾留から解放されるための手続として、
- ① 勾留決定に対する準抗告
- ② 勾留取消請求
- ③ 勾留執行停止の申立て
があります。
勾留決定に対する準抗告は、勾留決定に異議を申し立てる手続です。
通常は、弁護人が、被疑者に証拠隠滅や逃亡の危険性がないにもかかわらず、勾留の決定をしたことが誤りであることを主張して、被疑者の釈放を求めます。
勾留取消請求は、勾留の決定の後で、被疑者に証拠隠滅や逃亡の危険性がなくなったことを理由に、被疑者の釈放を求める手続です。
勾留取消請求も、通常は、弁護人が、被害者と示談が成立したことや、被疑者の身元引受人が現れたことなどを挙げて、被疑者に証拠隠滅や逃亡の危険性がなくなったことを主張します。
勾留執行停止の申立ては、期間を定めて一時的に被疑者を釈放するように申し立てる手続です。
勾留執行停止の申立ても、通常は、弁護人が、被疑者の親族の冠婚葬祭等の出席、入院治療、大学受験等の事情により、一時的であっても被疑者を釈放する必要があることを主張します。
逮捕と勾留の違い 勾留が延長される理由と阻止するための弁護活動