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「逮捕・勾留」に関するお役立ち情報

勾留が延長される理由と阻止するための弁護活動

  • 文責:所長 弁護士 伊藤美穂
  • 最終更新日:2023年12月13日

1 勾留延長される理由

勾留延長については、刑事訴訟法208条2項に規定されています。

同項によれば、勾留延長は、「やむを得ない事由があると認めるとき」にできるとされています。

何がやむを得ない事由にあたるかについては、明確な規定はありませんが、最高裁判所が昭和37年7月3日の判決は以下のとおり判示しています。

すなわち、「「やむを得ない事由があると認めるとき」とは、事件の複雑困難(被疑者もしくは被疑事実多数のほか、計算複雑、被疑者関係人らの供述又はその他の証拠のくいちがいが少なからず、あるいは取調を必要と見込まれる関係人、証拠物等多数の場合等)、あるいは証拠蒐集の遅延若しくは困難(重要と思料される参考人の病気、旅行、所在不明もしくは鑑定等に多くの日時を要すること)等により勾留期間を延長して更に取調をするのでなければ起訴もしくは不起訴の決定をすることが困難な場合をいうものと解するのが相当である(なお、この「やむを得ない事由」の存否の判断には当該事件と牽連ある他の事件との関係も相当な限度で考慮にいれることを妨げるものではない)。」とされています。

裁判所の判決は言葉が難しいので、ざっくりと要約してしまうと、事件が複雑であったり量が多かったり、あるいは証拠を収集するのに時間がかかったり難しかったりして、勾留期間を延長してさらに取調べをしなければ、起訴するか不起訴にするか決め難い場合が「やむを得ない事由」にあたります。

これだけみると、勾留延長ができる場合はかなり限定されているように思えますが、実際には、比較的緩やかに運用されているという感じがします。

2 勾留延長を阻止するための弁護活動

勾留延長を阻止するためには、上記の裁判所の基本的な考え方と、実務上緩やかに運用されているように感じられることを踏まえて弁護活動を行う必要があります。

ただ、弁護側が捜査を円滑に進めるための行動を行うことは現実的ではありません。

弁護側が、どこにこういう証拠があるなどと積極的に捜査機関に情報提供することは、被疑者の利益と反することにもなりかねません。

そのため、弁護側の弁護活動は、事後的なチェックが中心となります。

捜査機関の捜査状況、事案の内容、証拠の収集状況、取調べの状況等から、もっと早く捜査が進められるのではないか、これ以上の捜査は必要ないのではないかといった観点から捜査機関の動向をチェックし、意見書としてまとめて裁判所に提出することになります。

これにより、勾留延長が阻止できたり、延長期間が短縮できたりすることがあります。

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