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相続が破産手続きに与える影響について
1 同時廃止事件と管財事件の選択に影響がでます
⑴ 自己破産の種類
自己破産をする場合に、特に現金化して債権者に分配できる財産がなく、借入の理由や借入の使途に問題もなければ、自己破産の手続きは開始すると同時に終了する扱いとなります。
これを同時廃止事件と呼びます。
他方で、現金化可能な財産があると考えられる場合には、破産管財人を裁判所が選任し、破産管財人による財産管理が行われることとなります。
これを管財事件と呼びます。
申立人の立場で、両者を比較した場合、管財事件では、破産管財人の報酬も申立人が支払わなければならないため、破産手続きに必要な費用が大きくなるという特徴が挙げられます。
また、破産管財費用を用意できない場合には、破産手続きが頓挫するリスクもあります。
⑵ 相続による影響
破産手続き開始後に、相続が起きた場合には、相続財産は新得財産となりますので、原則として自己破産の手続きに影響を与えません。
他方で、例えば同時廃止事件になるかもしれないと思っていた事案でも、手続き開始前に相続が発生して財産を得た場合には、破産管財事件になって財産を債権者に分配する必要がでてきます。
2 自覚のない相続財産がある場合
なお、自分自身は相続をした財産はないと思い込んでいても、実際に、財産を相続していることもあるので注意が必要です。
例えば、親が家屋や山林などの不動産を所有していて亡くなった場合で、しかも、自分自身は実家を離れて遠方で生活していて、実家の家屋や山林は、兄弟だけが利用しているような場合、自分自身の認識としては、実家の家屋や山林は兄弟が相続したものであって、自分には関係ないと思い込んでしまうことが少なくありません。
しかし、法的にはその不動産は、相続人の共有となりますので、遺産分割か相続放棄の手続きをとっていない限り、不動産を共有する権利を相続したと評価されることになります。
特に、このような遠方の不動産の持ち分を相続している場合、なかなかその不動産を現金化することが困難であるため、「破産したいけれど、相続不動産のために管財事件になりそうだが、現金がないから破産ができない。」といった事態に陥ることもあります。
3 弁護士にご相談ください
このように、相続と破産という、一見するとあまり関係がないように思える法律の手続きも実際には密接に関連しあっており、破産申し立ての際の財産の調査や把握は決して容易なことではありません。
自己破産の手続きを見落としなく進めるには、弁護士などのサポートがあることが望ましいといえます。
京都で自己破産をご検討の方は、弁護士法人心までご相談ください。