相続・遺言
相続に強い弁護士の探し方
1 全ての弁護士が相続に強いとは限らない
法律の世界は、たびたび医療の世界に例えられることがあります。
例えば、病院は産婦人科、皮膚科、眼科、整形外科といったように、専門分野が分かれています。
その理由は、人体という複雑なものを扱う以上、特定の分野に特化した方が、より正確かつスピーディーな対応が可能になるからです。
法律の世界でも同じく、1人の弁護士が複数の分野を扱えば、それだけ1つの分野についてノウハウを蓄積する時間が短くなってしまいます。
反対に、注力する分野を相続に絞っている弁護士であれば、それだけ多く、相続に関するノウハウを蓄積することができます。
そこで、相続について弁護士に相談する際は、相続を集中的に扱っている弁護士を探すことが重要になってきます。
2 ホームページなどで情報を集めることが大切
ホームページは、その弁護士事務所のことを外部に発信するためのものです。
そのため、ホームページには、その弁護士事務所が注力している分野を記載していることがあります。
もっとも、弁護士事務所全体の方針も重要ですが、より重要なのは、相続を集中的に扱っている弁護士がいるかどうかです。
例えば、弁護士事務所全体の方針で、5つの分野に注力していても、弁護士全員が5つの分野を扱っていたのでは、それだけ1つの分野に割く時間が短くなります。
そのため、弁護士事務所全体で相続に注力しており、さらに個々の弁護士の中に、相続を集中的に扱っている弁護士がいるかどうかをチェックしてください。
3 ホームページで税金の記載があるかもチェックしてください
相続と税金は密接に結びついています。
例えば、相続に関する税金の額は、遺産の分け方によって大きく変わることがあります。
そのため、相続を集中的に扱っている弁護士であれば、税金面にも細心の注意を払い、日々の業務を行っています。
その一環として、ホームページで相続に関する税金の情報を発信することもあるので、ホームページをチェックする際は、税金のことが記載されているかもチェックすることをおすすめします。
相続を弁護士に相談してから解決までにかかる時間
1 交渉だけで終わる場合は3か月程度で終わることも
相続で弁護士に相談するケースの多くは、相続人同士で対立が生じてしまったというものです。
相続人同士で対立が生じた場合、相続人全員が納得できる案がないかを探ることになります。
たとえば、長男が京都の実家を相続したいと主張し、長女も京都の実家を相続したいと主張した場合、遺産の分け方を巡って意見が対立している状態です。
こういったケースでは、なぜ京都の実家を相続したいのかという根本的な理由を突き詰め、他の方法で目的を達成することができないかを検討します。
もし、相続人全員が納得できる合意点が見つかれば、そこで相続の問題は解決します。
このような、裁判手続きをせず、交渉だけで終わらせることができる場合は、早ければ3か月程度で解決することもあります。
2 裁判手続きを行う場合は解決まで数年かかることも
遺産の分け方や、遺産の取り分などで全く妥協点が見つからない場合や、話し合いすらできないようなケースでは、裁判手続きに移行する必要があります。
もし、裁判手続きに移行した場合は、まず相続人間の主張を裁判所に伝え、本当に妥協点がないのかを話し合うことになります。
この話し合いは2か月に1回程度の頻度でしか行われないため、手続きはなかなか進みません。
裁判所が関与する中での話し合いでも決着がつかなければ、裁判官が遺産の分け方を決める手続きが始まります。
遺産の種類や複雑さによって異なりますが、裁判官が遺産の分け方を決める場合は、解決までに数年かかることもあります。
3 相続の手続きだけなら、1か月から2か月程度
相続人同士で対立が生じていない場合は、遺産を相続するための手続きを進めていくことになります。
例えば、預貯金の解約や、不動産の名義変更といった手続きが典型例です。
これらの相続手続では、戸籍謄本などの必要書類を集め、金融機関や法務局に書類を提出することになります。
必要な期間の目安は、1か月から2か月程度です。
相続を弁護士に依頼する場合の費用
1 まずは相談料
何の相談もすることなく、最初から依頼するというケースは珍しいため、通常は依頼する前に、まず弁護士に相談をすることになります。
多くの弁護士事務所が、30分5500円程度の相談料を設定しています。
しかし、相談料を無料にしている弁護士事務所もあるため、「とりあえず話を聞いてみたい」ということであれば、無料相談を利用すると便利なのではないでしょうか。
当法人も、相続に関するお悩みの相談料は原則無料としております。
京都で相続にお悩みの方はお気軽にお問い合わせください。
2 着手金
弁護士に業務を依頼するにあたって支払う報酬を、着手金といいます。
着手金は、業務を行うことそのものへの対価ですので、結果的に望むような成果を得ることができなかったとしても、返金はされないのが原則です。
着手金は、定額で30万円と設定されていたり、「経済的利益の10%」というように、パーセンテージで設定されています。
また、事務所によっては、着手金が0円の事務所もあるため、依頼する前には、しっかりと費用を確認しておくことをおすすめします。
3 成功報酬
成功報酬は、弁護士が業務を行った結果、得られた利益に対して発生する報酬です。
たとえば、成功報酬が20%と定められている場合で、交渉の結果相手方から1000万円を取得した場合は、成功報酬は200万円と消費税ということになります。
4 手数料
弁護士が相続に関する何らかの手続きや、書類作成をした場合、手数料がかかる場合があります。
たとえば、遺産内容を調査するために、銀行や証券会社から書類を集める場合、その書類を集めるという業務に対して手数料が発生する場合があります。
5 出張費・出廷費
弁護士が相手方の家などに出張したり、裁判所に出廷した場合は、出張費や出廷費がかかります。
30分あたり5500円だったり、半日あたり数万円だったりといったように、出張費の料金体系は事務所によって様々です。
6 実費
弁護士の報酬以外にも、実費が必要になることがあります。
たとえば、弁護士が裁判所に出廷する際に電車に乗る場合は、その交通費が実費として必要になります。
また、市役所から、戸籍謄本を取得する際は、市役所に支払う手数料が実費として必要になります。
弁護士による相続人の調査
1 相続人の調査方法
相続人とは、文字どおり相続の権利がある人です。
どんな家族関係の時に、誰が相続人になるのかは、法律で定められています。
「相続人が誰かなんて、分かり切っていることなので、調査は不要」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、相続人が何人いるのかは、戸籍謄本を見るまでは、はっきりとは分かりません。
実際に、不動産の名義変更や、銀行での預貯金の解約には、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本を全て提出する必要があります。
戸籍謄本を見て初めて、「実は父は再婚で、前妻との間に子がいた」と分かったという例は珍しくありません。
2 戸籍謄本を取得することは難しい
戸籍謄本は、どこの役所に行っても取得できるというものではありません。
戸籍謄本は、市区町村単位で管理されているため、亡くなった方の本籍地の市区町村で、戸籍を取得する必要があります。
しかし、本籍地は、何回も変わっている場合があります。
たとえば、引っ越すたびに本籍地を変更する方もいますし、結婚や離婚をすると、本籍地が変わることが多いです。
新しい戸籍謄本から、どんどん遡って、古い戸籍謄本を取得していかなければなりません。
特に、昔の戸籍謄本は、手書きで作成されており、読み解くことがとても難しい場合があります。
そのため、戸籍謄本を遡って取得していくのは、大変な負担になります。
3 弁護士による相続人の調査方法
通常、戸籍謄本は個人情報保護の観点から、本人や親子など、一定の親族しか取得することはできません。
しかし、弁護士は、特別な権限により、市区町村から戸籍謄本を取得することが可能です。
そのため、弁護士は迅速に、相続の手続きをするための戸籍謄本を集めることができます。
4 弁護士であれば、見落としを防ぐことができる
戸籍謄本を見る際、見落としやすいのが、養子縁組の有無です。
もし、亡くなった方と養子縁組をしている方がいる場合、その養子は相続人になります。
しかし、養子縁組をしたかどうかは、非常に見づらいところに記載されていることがあり、戸籍謄本を見慣れていない方の場合、うっかり見落としてしまうことがあります。
普段から、戸籍謄本のチェックに慣れている弁護士であれば、こういった見落としを防ぐことができます。
相続について専門家に相談すべきケース
1 相続手続について何から始めればいいか分からないケース
相続自体は、どこの家庭でも起こることですが、相続手続を頻繁に行うという方は少ないかと思います。
相続手続では、戸籍の収集、遺産の調査、不動産の名義変更など、普段は行わないようなことを、一度に行うことになります。
そのため、まずは専門家に相談し、どんなことをする必要があるのかのアドバイスを受けることが重要です。
2 相続問題でもめそうなケース
具体的に何かでもめているわけではなくても、過去の経緯から、もめることが予想されるケースがあります。
例えば、故人の介護を頑張った人と、そうではない人では、遺産の分け方について、意見がぶつかり合うことがあります。
また、故人から多くの生前贈与を受けている人や、遺言で多くの遺産をもらうことになっている人がいる場合も、もめごとの火種はあると言えます。
そういったもめる要素がある場合には、どんな点に気を付けて、相続人同士で話をするべきなのか、専門家からアドバイスを受けることが大切です。
3 相続人同士でもめてしまっているケース
遺産の分け方について、既に相続人同士で明確に対立してしまっている場合、早急に専門家への相談が必要です。
特に、相続問題については、期限があるようなものもあるため、注意が必要です。
また、相続問題は、早急に解決をしないと、感情的な対立も高まり、裁判手続きに移行してしまう可能性が高い分野です。
早期解決のためにも、相続人同士でもめてしまっている場合は、できるだけ速やかに専門家に相談することが大切です。
4 将来のもめごとを防ぎたいケース
将来発生しそうな相続問題を未然に防ぎたいという場合、早い段階から対策を打っておくことが重要です。
将来のもめごとを防ぐためには、例えば遺言書作成・任意後見制度・家族信託制度の活用などが有効な対策であると考えられます。
しかし、ただそれらの対策をするだけでは、不十分なことがあります。
これらの制度を組み合わせて用いることや、将来のもめごと防止の観点からの証拠づくりなどを、適切に行っていく必要があります。
そのため、将来のもめごとを防ぎたいケースでも、専門家のアドバイスが重要です。