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労災保険の特別加入制度

  • 文責:所長 弁護士 伊藤美穂
  • 最終更新日:2023年11月30日

1 労災保険の対象者

労災保険は、原則として労働者を対象としています。

労災保険における労働者とは、「職業の種類を問わず、事業に使用される者で、賃金を支払われる者」をいい、労働者であればアルバイトやパートなどの雇用形態は問いません。

一方で、事業主などの雇用されていない者については、原則として、労災保険に加入できません。

労災保険は、日本国内で労働者として事業主に雇用されて賃金を受け取っている方を対象としているため、事業主、自営業主、家族従事者などの労働者以外の方は労災保険の対象となっておらず、業務により負傷した場合でも労災保険給付を受けることはできません。

2 特別加入制度

⑴ 制度の概要とその範囲

労災保険の特別加入制度とは、労働者以外のうち、業務の実態や、災害の発生状況からみて、労働者に準じて保護することがふさわしいとみなされる人に、一定の要件を満たす場合には労災保険に特別加入することを認めている制度です。

特別加入をすることができる主な範囲は、中小事業主等・一人親方等・特定作業従事者・海外派遣者の4つに大別されていました。

令和3年4月からは、芸能関係作業従事者・アニメーション制作作業従事者・柔道整復師・創業支援等措置に基づき事業を行うものも対象となり、令和3年9月からは、自転車を使用して貨物運送事業を行うもの・ITフリーランスも特別加入制度が開始され徐々に範囲が拡大しています。

⑵ 特別加入制度の目的

事業主等は、本来、労災保険給付を受けることはできませんが、中小企業の事業主は労働者と一緒に同様の業務に従事していることも多く、また建設関係の一人親方は、労働者を雇わずに自らが労働者と同じような業務に従事しているため、労災発生時に労働者に準じた保護をする必要があります。

また、日本の労働者も海外の事業場に所属して指揮命令に従って業務を行う海外派遣者は、属地主義により本来は日本の労災補償法の適用はありません。

しかし、現地の法律は様々で、補償水準も一定ではないため、海外での労災について一定の場合に日本と同様の保護を与えて対策をとっておく必要もあります。

そこで、特別加入制度により、労災保険制度の建前を損なわない一定の範囲で、要件を満たす場合には、特別に任意加入することを認めて、労災保険の特別加入制度による保護を図っています。

3 特別加入制度の利用をご検討ください

労災事故により事業主等の労働者以外の方が傷病を負った場合、治療費が支払えずに十分な治療ができない可能性があります。

また、労災による後遺障害や休業に対する補償が受けられないと、生活が困窮することになります。

労災保険の特別加入制度を利用することで、労働者以外の一定の方も労災保険の給付を受けることが可能になりました。

業務に起因する病気やケガの可能性がある方は、労災保険の特別加入制度を利用することをおすすめします。

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