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Q&A

通勤中のケガは労災として認められますか?

  • 文責:所長 弁護士 伊藤美穂
  • 最終更新日:2022年3月25日

1 通勤災害における「通勤」

通勤によって労働者が被った傷病等を通勤災害と言います。

通勤災害の「通勤」は、就業に関し、①住居と就業場所との間の往復、②就業の場所から他の就業場所への移動、③単身赴任先住居と帰省先住居との間の移動を、合理的な経路および方法で行うことをいい、業務の性質を有するものを除くとされています。

①~③の移動が労災保険法上の通勤の要件を満たしていれば、「通勤」として認められます。

また、移動の経路を逸脱した場合や、中断した場合には、逸脱または中断の間およびその後の移動は「通勤」とはなりません。

ただし、例外的に認められた行為で逸脱または中断をした場合は、その後の移動は「通勤」として認められます。

2 「就業に関し」

通勤は、その移動が業務と密接な関連をもって行われる必要があります。

「就業に関し」とは、①②の移動の場合には、被災当日に就業することになっていたこと、または現実に就業していたことが必要となりますが、通常の出勤時刻とある程度前後していても就業との関連性は認められます。③の移動の場合は、原則として、就業人その前日または翌日までに行われれば「通勤」と認められます。

3 「住居」と「就業の場所」

「住居」とは労働者が居住している家屋などの場所で、本人の就業のための拠点になるところを言います。

通常は家から通勤しているが、台風やストライキなどでやむを得ず会社の近くのホテルに泊まっていた場合には、そのホテルが住居になります。

「就業の場所」とは、業務を開始または終了する場所を言い、一般的には会社や工場になります。

外勤業務の場合には、自宅を出てから最初の用務先から業務開始の場所になり、最後の用務先が業務終了の場所になります。

4 「合理的な経路および方法」

「合理的な経路および方法」は、異動を行い際に、一般に労働者が用いると認められる経路および方法をいいます。

通勤のために通常利用する経路が複数ある場合には、通常は、それらの経路はいずれも合理的な経路になりますが、合理的な理由もなく著しく遠回りとなる経路を取る場合には、合理的な経路になりません。

通常用いられる交通方法は、平常用いているかどうかにかかわらず、合理的な方法になります。

5 「業務の性質を有するもの」

通勤の要件を満たす移動であっても、その行為が「業務の性質を有するもの」である場合には、「通勤」に当たりません。

具体的には、事業主の提供する専用交通機関を利用して出退勤する場合、緊急用務のために休日に呼び出しを受けて出勤する場合などの移動による災害は、業務災害となります。

6 「往復の経路を逸脱し、または中断した場合」

「逸脱」は、通勤の途中で修行や通勤と関係のない目的で合理的な経路をそれることをいい、「中断」は、通勤の経路上で通勤と関係ない行為を行うことです。

通勤の途中で映画を見に映画館に行ったり、飲酒のために飲食店に立ち寄ったりした場合には、「逸脱」となります。

ただし、通勤の途中で逸脱または中断があるとその後は原則として「通勤」になりませんが、日用品の購入や病院での治療のためなど、厚生労働省令が定める行為でやむを得ない事由により最小限度の範囲で行う場合であれば、「逸脱」「中断」の間を除いて、合理的な経路に復した後は再び「通勤」になります。

7 通勤中のケガについては弁護士へご相談ください

通勤中のケガは、一定の要件を満たせば労災として認められます。

ただし、労災と認められるためには要件に当てはまるかの確認が必要です、通勤中にケガをされ場合には、弁護士法人心にご相談ください。

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