相続放棄をお考えの方へ
1 相続放棄のご相談は弁護士法人心まで
亡くなられた方に借金があった場合、相続放棄を検討される方もいらっしゃるかと思います。
相続放棄を検討中で、弁護士へのご相談をお考えの方は、当法人までご連絡ください。
京都市内やその近隣にお住まいの方は、京都駅近くにある事務所がご利用いただきやすいかと思います。
また、相続放棄についてはお電話でのご相談も承っております。
ご来所相談もしくは電話相談のどちらの場合でも、まずは一度当法人にご連絡ください。
2 相続放棄について
相続放棄をするには、申述書などの必要な書類をそろえて裁判所に申立てを行います。
なお、相続放棄には期限がありますので、迅速に手続きを進めていく必要があります。
相続放棄をすれば、借金などを引き継がなくてよくなるものの、預貯金や不動産などプラスの財産もいっさい受け取ることができなくなりますので、しっかりと財産調査等を行い、本当に相続放棄をすべきか慎重に判断することが重要です。
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相続放棄のメリット・デメリット
1 相続放棄するかどうかはメリットとデメリットを比較して決める
相続放棄は、相続人として持つ権利を法的に放棄することです。
当然ながら、相続放棄をすることによるメリットは多々ありますが、反対にデメリットも存在します。
そこで、あらかじめ相続放棄のメリットとデメリットを把握しておくことが重要です。
2 相続放棄のメリット
⑴ 債務を相続しなくてもよくなる
相続放棄の最大のメリットは、債務を相続しなくてもよくなるという点です。
仮に、亡くなった方に100億円の借金があったとしても、相続放棄してしまえば、100億円の借金を返済する必要がなくなります。
また、亡くなった方が借金をしていなかったとしても、税金や社会保険料を滞納していた場合、これらの支払義務を相続しなくてよくなります。
⑵ 不要な財産を相続しなくてよくなる
たとえば、田舎の田んぼや原野などは、相続しても扱いに困ることが多くあります。
こういった不要な財産を相続したくない場合、相続放棄をするという選択肢があります。
⑶ 相続の揉めごとに関わらなくてよくなる
マイナスの財産がなかったとしても、相続放棄した方がいいケースとして、「遺産の分け方で相続人が揉めることが想定される場合」というものがあります。
あらかじめ相続放棄をして、遺産の権利を放棄しておけば、遺産の分け方の話し合いに参加しなくてよくなります。
3 相続放棄のデメリット
⑴ プラスの財産も相続できなくなる
相続放棄をすれば、プラスの財産の相続権も失います。
たとえば、不動産、預金、株、自動車などの財産について、権利を失ってしまいます。
⑵ 次の順位の相続人とトラブルになることがある
たとえば、Aさんの子が全員相続放棄をすると、次はAさんの両親や祖父母が相続人になります。
Aさんの両親や祖父母がいない場合や、その全員が相続放棄した場合は、Aさんの兄弟姉妹が相続人になります。
新しく相続人になった人は、相続放棄を検討しなければならなくなるため、手間や費用をかけさせてしまうことになり、トラブルになることがあります。
相続放棄の期限
1 原則として3か月以内に手続きをする必要がある
亡くなった方の財産を相続したくない場合には、家庭裁判所で相続放棄の手続きをする必要があります。
この手続きをしないと、亡くなった方に多額の負債があった場合でも、それを引き継ぐことになりかねません。
注意しなければならないのは、相続放棄の手続きには期限があるということです。
相続人は、「自らが相続人となったことを知った日」から3か月以内に相続放棄の手続きをしなければならず、この手続きをしなければ放棄をすることはできず、相続をしたものと扱われてしまいます。
相続人が、亡くなった方からみて子どもや配偶者であった場合には、亡くなったことを知った日が「自らが相続人となったことを知った日」となりますので、そこから3か月以内に手続きをする必要があります。
よく「亡くなった日から3か月以内」と誤解されていることがありますが、たとえば、亡くなった方とは疎遠であり、しばらく時間が経った後に亡くなったことを知った場合もありますので、そのような場合には期限はもっと先になります。
なお、この3か月の期間は、裁判所に伸長を申し立てることで伸ばしてもらえることがあります。
2 後順位の相続人は先順位の相続人が相続放棄をしたことを知った日からカウントする
たとえば、亡くなった方に子どもがいるほか、両親も健在だったとします。
子どもがすべて相続放棄をした場合には、子どもは初めから相続人ではなかったということになりますので、代わって両親が相続人になります。
両親からすると、初めから相続放棄をするつもりであったとしても、亡くなったことを知った時点では相続人ではないため、放棄の手続きを進められません。
そのため、両親の相続放棄の期限については、「子どもたちが相続放棄をしたことを知った日」が「自らが相続人となったことを知った日」として、相続放棄の起算日になります。
3 特段の事情が認められる場合がある
相続放棄の期限までに手続きをしていなかった場合にも、相続放棄が認められる余地があります。
たとえば、相続人が、亡くなった方にはプラスの財産もなく、借金もないと思っていたため、相続放棄の手続きをしないでいたところ、後日、多額の借金があったことが明らかになったという場合です。
このような場合には、裁判所は、「特段の事情があった」ものとして、そのような借金があったことを知った日から3か月以内に手続きをすれば相続放棄を認める場合があります。
相続放棄する際に必要となる費用
1 裁判所に支払う費用
相続放棄を行う場合、裁判所に800円を支払う必要があります。
もっとも、この800円は、現金や振り込みで支払うわけではありません。
具体的には、収入印紙を800円分購入して、裁判所に提出することになります。
また、裁判所が書類を発送する際に使用する切手を、相続放棄の書類と一緒に提出する必要があります。
多くの場合で、500円前後ですが、切手の金額と枚数を指定されることが多く、しかも裁判所によって金額が異なります。
そのため、あらかじめ裁判所に、どの切手が何枚必要なのかを問い合わせておきましょう。
2 市区町村に支払う費用
相続放棄をする場合、亡くなった方の戸籍や住民票などが必要になります。
これらの書類は、市区町村から発行してもらうことになるため、その手数料が必要になります。
戸籍は、種類によって450円のものと、750円のものがあり、料金は全国一律です。
他方、住民票の発行にかかる手数料は、市区町村によって異なります。
3 弁護士に依頼する場合の費用
弁護士に依頼すると、上記のような裁判所や市区町村に支払う費用とは別に、弁護士への報酬が必要になります。
相続放棄を依頼した場合の費用は、事務所によって異なります。
ホームページをチェックしたり事務所へ問い合わせをしたりして、あらかじめどれくらいの費用が必要になるのかを調べておくことをおすすめします。
4 弁護士に依頼した場合のメリット
弁護士に相続放棄を依頼すると、面倒な手続きをすべて任せることができます。
相続放棄をする際には、戸籍等を集めるために平日に市区町村役場に行ったり、裁判所に提出する書類を作成したり、場合によっては裁判官と電話のやりとりをしなければならないなど、やらなければならないことがたくさんあります。
また、亡くなった方が借金をしていた場合には債権者と連絡を取り、相続放棄が完了したら、その旨を知らせる必要があります。
弁護士に相続放棄を依頼した場合、これらをすべて任せることができるため、手間や労力との兼ね合いで、費用に見合っているかを検討することになります。