遺留分侵害額請求権の時効
1 時効になれば遺留分侵害額請求は難しい
たとえば、お父さんが長男に対し、「全財産を相続させる」という内容の遺言書を残していた場合、他の相続人は、遺産をもらえないことになります。
それでは不公平なので、最低限の権利である遺留分の請求を検討しなければなりません。
とはいえ、「相続が起きてすぐにお金の話をするのもどうかと思うので、一周忌が終わってから考える」という方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、それでは遺留分の請求ができなくなってしまう可能性があります。
なぜなら、遺留分の請求は、いつまでもできるわけではなく、時効になってしまうと、請求が難しくなるためです。
2 まずは1年の期限に注意
遺留分侵害額請求は1年で時効になってしまいます。
どの時点から1年かというと、①相続が起きたこと②遺留分の侵害があったことの2点を知った時点から1年です。
たとえば、お父さんが亡くなり、そこから半年後に「全財産を長男に相続させる」という遺言書が発見されたというケースでは、その遺言書を発見し、内容を認識した時から1年が時効の期間ということになります。
3 遺留分侵害額請求を時効にかからせないための方法
遺留分侵害額請求の時効を停める方法は、遺留分侵害額請求の請求をすることです。
請求の方法は、法律で決められていません。
口頭で伝える、メールやSNSで伝える、手紙で伝えるなど、どの方法でも有効とされています。
しかし、1年以内に遺留分侵害額請求をしたという証拠が残る形で、遺留分の請求をしておく必要があるので注意が必要です。
もっとも一般的な方法は、内容証明郵便で遺留分侵害額請求の意思を伝えるという方法です。