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遺言の失敗事例

  • 文責:所長 弁護士 伊藤美穂
  • 最終更新日:2023年12月27日

1 失敗しない遺言を作成することが重要

相続においては、遺言書を作成しているかどうかによって、その結果や手続きの手間が大きく異なります

遺言を作成せずに亡くなってしまわれる方がまだまだ多いのですが、遺言書を作成することは、残された相続人が相続手続きを進める上で大きなメリットがあることも多いため、私たちは遺言書を作成されることをおすすめしています。

しかし、遺言書を作成したとしても、遺言書の効果を得られなかったという失敗や、問題のある遺言書を作成してしまったためにトラブルを招いてしまったという失敗もあります

以下では、遺言における失敗の事例を挙げていきますので、作成される際に参考にしていただければと思います。

2 自筆の遺言書を作成したが法律上の要件を満たしていなかったもの

亡くなった方が自筆で遺言書を作成しており、その遺言書が亡くなった後に発見されました。

確かに、亡くなった方の字で作成されていますので、亡くなった方の自筆の遺言書であることは、相続人の間でも争いはありませんでした。

しかし、残念ながら、その遺言書には押印がされていませんでした。

法律上、自筆証書遺言には、署名のほかに押印をすることが求められていますので、一部の例外的なものを除いて、押印をしていなければ法律上の効力はありません。

それでも、「この内容の相続が亡くなった方の意思なのだから、そのとおりの内容としよう」と、相続人全員が遺産分割協議をすれば、問題が生じるわけではありません。

しかし、その内容に納得のいかない相続人が、「遺言どおりではなく法律に従った相続にすべきだ」と主張した場合には、問題が生じます。

「亡くなった方の財産なのだから亡くなった方の希望のとおりにすべきだ」との考え方も、「遺言書は法的に無効なのだから法律に従って処理すべきだ」という考え方も、どちらが間違っているということはありません。

ただ、少なくとも、亡くなった方の意思がそのまま反映されることは無く、さらに、遺言書があることでかえってトラブルを招いてしまったともいえます。

このように、遺言書の法律上の要件を充足していないことで、相続のトラブルを招くことがありますので、注意しましょう

3 予備的条項がなかったもの

亡くなった方は、公正証書遺言を作成しており、家業を継ぐ長男にほとんどの財産を相続させるつもりでした。

他の兄弟も、これまでに亡くなった方の家業を支え続けてきた長男がそのように相続をすることに異存はありませんでした。

しかし、当事者が予想していなかったことがおきました。

亡くなった方よりも先に、その長男が亡くなってしまったのです。

このような場合、長男に相続をさせようとしていた遺言書の内容は、相続開始の時点では長男が存在しないことになりますので、無効になってしまいます。

長男の子どもが家業を継ごうと思いましたが、亡くなった方は遺言書を書き直そうにも、そのときには認知症になっており、遺言書を作成する能力を喪っていたため、そのまま亡くなりました。

先に亡くなった長男以外の兄弟は、長男が家業を継ぐのであれば納得していましたが、長男の子どもが家業を継ぐことには反対でした。

そのため、長男の子どもと、他の兄弟との間で争いが起きてしまいました。

上記のように、長男が先に亡くなって遺言書が無効になってしまうという事態を防ぐためには、遺言書に予備的条項を付けておくことが大切です。

予備的条項とは、万が一の事態が生じた場合に備えて付けておく条項のことです。

例えば「自分よりも先に、または、同時に長男が死亡したら、長男に相続させるという財産を長男の子どもに相続させる」という条項を付けておけば、上記のようなトラブルは避けられたはずです。

このように、可能性の低い事態であったとしても、このような事態が生じた場合に備えて、遺言書を作成しておくことが重要です

4 相続税のことを考慮しなかったもの

亡くなった方は、長男と同居しており、遠方に嫁いだ娘がいました。

自宅以外には多くの不動産があり、預貯金もある程度ありました。

亡くなった方は、家を継ぐ長男には不動産を、娘には預貯金を継がせようと、そのような遺言書を作成しました。

ですが、亡くなった方は、自らの相続において相続税がかかるということを考慮していませんでした。

多くの不動産を継いだ長男には、多額の相続税がかかることになったのですが、その納税をするための資金が足りず、急いで不動産を売却することになりました。

しかし、売却期間を十分にとることができず、やむをえず不動産を安価で売却することになってしまいました。

ここで、亡くなった方が、長男にかかる相続税のことを考慮して、例えば長男を受取人とする生命保険に加入していれば、このような事態を避けることができました。

このように遺言書を作成する際には、相続税のことも考慮した内容にしておくことが重要です

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