示談をするべきタイミング
1 早期に示談するリスク
交通事故の被害者の方の中には、事故直後に加害者から示談を求められた方もいます。
それでは、まだケガの治療中なのに示談をしてしまうとどうなるのでしょうか。
事故の当事者が示談をすると、示談の内容は和解契約として契約者双方を拘束します。
そこで、一旦示談をしてしまうと、原則、相手の同意がない限り示談した内容を変更することができません。
交通事故でおケガをした場合、事故直後は大したことがないと思ってその場で数万円の治療費をもらって示談をしてしまう方がいらっしゃいますが、非常に危険です。
交通事故の直後は、興奮や緊張をしているせいで痛み等の症状に自分でも気が付けないことがあります。
また、ムチウチの症状のように、事故からしばらくしてから強い症状がでてくるようなケガもあります。
事故によるケガについていつまで治療が必要かは、医師であってもある程度治療の終了時期が近づかないと判断できないことが大半です。
また、会社近くの病院に通っていて通院のために会社を休む必要はないと思っていても、いつもの病院では検査ができず、会社を休んで外部の病院に行くようなこともあります。
交通事故によるケガやそれに伴う損害がどの程度発生するかは、治療中には誰にも分からないのです。
それなのに、その場で示談をしてしまうと、後から損害が発生して相手に請求しようとしても、原則として請求ができなくなってしまいます。
2 いつ示談をしたら良いのか
では、示談はいつするべきなのでしょうか。
ケガによる損害については、ケガが治癒するか症状固定(医師により治療をしてもこれ以上の改善が見込めないと判断されたとき)をした時点で、ある程度見通しを立てることができるようになります。
傷害部分については、この時点である程度幅があっても損害の大枠は確定します。
ただし、後遺障害部分については、自賠責保険に後遺障害申請をしてみることになります。
通常は、後遺障害の等級が決まってから示談交渉をしますが、場合によっては後遺障害部分を除いて傷害部分だけ先に示談することもあります。
後遺障害部分を除外して和解するためには、示談書に必ず後遺障害部分については別途協議する旨の文言を入れておく必要があります。
弁護士が交渉すると賠償金額が増額することが多い理由 交通事故の慰謝料はいくらもらえるか